400年の歴史を持つ「博多人形」。
かつては「博多に行くときは一人でも、帰りは人形と二人連れ」と歌われたように、福岡の主要な御土産品としても有名です。
博多人形の材料は、土粘土。その風合いを生かした優しい質感が特徴です。
筥崎宮で販売されるおはじき「博多はじき」もいつも行列ができ、売り切れるほどの人気です。「博多はじき」は当工房を始め、「博多人形白彫会(はくちょうかい)」会員で手分けをして製作しています。
博多人形には、完全な一点物の「一品作(いっぴんさく)」と、型で複製する「型物(かたもの)」がありますが、どちらも一つ一つ手作業で作っています。
【材料】
博多人形は、焼成用粘土で作ります。
陶芸のものと似ていますが、人形の肌になるため、より細かく滑らかにされたものが好まれます。
水分や気温で柔らかさ、硬さを調整することで作業を進めていきます。
「粘土管理さえできれば人形は作れる」と言われますが、逆に言えば粘土管理はとても難しく熟練が必要な技術です。
【原型】粘土で原型を作ります。
作業をしているうちに、乾燥や温度で固くなってくるので、細かな水分調整が必要です。細部を作るためには、少し固くなった方が作業はしやすいですが、固くなり過ぎると作業が難しくなります。
作業時間は個人や作品によって異なりますが、粘土をつけたり削ったり、何か月も掛かることも多いです。
【くる】
原型がある程度できたら、切断し中をくりぬきます。その際、空気が抜ける穴がなければ焼成した時に空気が膨張し破裂することがあるので気を付けなければなりません。
置いたままでは作業できなかった場所など部位ごとに細かく仕上げをし、接ぎ直します。
その際は、粘土を水に溶いた「どべ」と言われるもので接着します。
繋いだ後が原型の完成になります。
【乾燥】
よく乾燥させます。
この時期が一番もろく壊れやすくなっていますので、取り扱いに注意しなければなりません。
【焼成】
窯で焼きます。1000℃程にもなるので、とても固く焼成することができます。
【やすり掛け】
完全に仕上げていても、焼成することによって表面に凹凸が出て来るので、滑らかにするためやすりを掛けます。立体感や風合いを生かしながら作業するのがポイントです。
【彩色】
絵の具で彩色します。日本画の絵の具や、アクリル絵の具、金箔、金泥、漆など作家によってさまざまな画材が使われます。
特に人形の命とも言われる、顔の彩色には、神経を使います。
【型取り】
複製するものは原型ができた時点で型を取ります。抜き出すことも考えて部位ごとにいくつもの型が必要になります。
型取りを行うためには原型から型取りを見越した形にする必要があります。
型に粘土を押し込む「型押し」後「乾燥」「焼成」「彩色」まで同じ手順です。